国際法において、民族には、国家を持つ権利が承認されているとしますと、ユダヤ民族にも、当然にこれは認められることになります。その一方で、一民族一国家の原則は、その国家の所在地については、何も語ってはいません。つまり、国家を持つ権利は、抽象的な権利としては認められながらも、国際法は、民族に対して、特定の領域を与えてはいないのです。
このため、国家の領域は、大凡、民族の居住や占有の歴史によって、領有の正当性が主張されることになります。領域が、既に固有の領土として確立している場合、あるいは、条約などによって法的に確定されている場合には、さしたる問題はないのですが、歴史が重層的な地域については、国境の線引きは簡単ではありません。後者の場合には、居住の時間的な前後関係、人口構成、さらには、移住と国際法の成立時期との関係などを考慮して、慎重に判断してゆかなくてはならないことでしょう。
パレスチナの場合には、どうなるのかしら、とまあちゃまは、考えてみることにしました。