PLOの資金源は、出稼ぎのパレスチナ人から集めた5%税にあったわけですが、1990年8月2日に、フセインがクウェートに侵攻して湾岸戦争を起こすと、これが、PLOに少なからぬ影響を与えることになります。
それは、第一に、アラファトがフセイン寄りの姿勢を示したことから、クウェートに在住していたパレスチナ人が追放の憂き目にあったことと、第二に、このことによって、PLOへの収入が大きく減少してしまったことです。クウェートには、1948年以来、30万から40万人のパレスチナ人が居住しており、外国人として独自のコミュニティを築いていました(クウェート市民は60万程度)。しかも、パレスチナ人は、勤勉であったため高学歴であり、教育やマスコミなどで活躍する人が多かったのです。
パレスチナ人には、高度な能力や技能を持つ人々が多いいならば、パレスチナ国家独立後には、国家の再建に貢献できるのではないかしら、とまあちゃまは、ふとそう考えるのでした。