まあちゃまの今語り

悪いのはどちら？

　人間とは、何か問題が起こるたびに、誰が悪い！彼が悪い！と犯人を探したり、責任の所在を見つけようとするものです。

　最近のニュースを見てみますと、問題を起こした人と、その問題を起きるような環境を作った人とでは、どちらが悪いの？という議論が目につきます。さてはて、本当に悪いのは、どちらなのでしょうか。

この問題も難しそうね、とまあちゃまは、どちらが悪い論争について考え始めました。

デカルトもかく言えり！

　デカルトは、科学的なものの見方を最初に提唱した近代合理主義者の始祖として知られています。しかしながら、そのデカルトでさえ、科学一辺倒であったわけではありませんでした。

　デカルトは、「方法叙説」において、全ての物事を疑った末に、合理的な理性を用いて説明できるものは変えてもよいけれども、理性を用いても説明のつかないことは、慣習にしたがった方が良い、という内容の文章を書いています。つまり、近代合理主義の出発点にあって、既に、全てが合理主義で割り切ることができないことを、深く自覚していたことになります。

　デカルトさんよりも、現代の合理主義者の方が過激みたい！とまあちゃまは、少し驚くのでした。

取捨選択の原則とは

　古いものと新しいものとの間で取捨選択を行う場合、考える基準や方向性が定まらなくては、すべてがめちゃくちゃになってしまいます。そこで、まずはじめに、考えたり、選んだりするための、基準について考えなくてはなりません。

　例えば、何か野蛮な風習、例えば、生贄や人柱とか！があった場合、それは、確かに伝統的で歴史のあるものなのですが、それを止めるか否かは、何を基準に判断したらよいのでしょうか？人類の歴史を振り返りますと、人々は、徐々にではありますが、人間の生命や尊厳を尊重するようになってきています。人々が相互にそれぞれの生命や尊厳を尊重しようと考えるようになった時、生贄や人柱といった他者の生命を奪うような風習は捨てられることになるのです。つまり、人間性の相互尊重というものが、物事の取捨選択の基準として定着してきていることが見て取れるのです。

　こうした基準が定着してくることこそが、人類が成長してきている証しなのね、とまあちゃまは、思うのです。

取捨選択こそ大切

　古いものと新しいもの、本当は、どちらも大切なのかもしれません。全部が古くても、全部が新しくても、人類の状況をより良くすることはできないかもしれないのです。

　そこで、古いものと新しいものとの間で、賢く取捨選択をする必要が生じてきます。科学技術と言った基準のはっきりしている分野では、新しいものの方が優れていることの方が多いようです。一方、人間の心が関わる人文科学や社会科学の分野では、そうとばかりは言えないようなのです。

　取捨選択を間違えると、新しくしなければならないところに古いものが残って、古いままでよいところに新しいものが入ってしまって、全てが混乱してしまいます。この選択こそが、人間の知性の見せ所なのかもしれません。

　ちゃんと取捨選択しているかしら、とまあちゃまは、またまた心配になるのでした。

本当は”ばか”にできない真面目さ

  このところ、面白いこと、ちゃかしたことばかりがもてはやされるようになり、真面目な人は、”ばか”にされたり、からかわれたりするようになりました。でもでも、本当は、真面目さがないと、世の中、大変なことになってしまうのです。

　社会の中で、人々がお互いに気持よく生きてゆくためには、どうしても、真面目さが必要となります。誰もが、他者に対して、不正直で、不誠実となれば、お互いにお互いが信じられなくなります。正直ものは、それこそ”ばか”を見てしまいますし、自分自身の自由や権利を守ることさえできなくなります。これでは、世の中はカオスと化して、無意味な暴力だけが支配するようになるかもしれません。これでは、文明以前の野蛮な時代に逆もどりです。

　”現代って、とっても生きにくい時代なのね、と、真面目なまあちゃまは不満そうです。それでも、まあちゃまは、律儀に真面目に生きるのでした。

小さい時から学ぶこと

　人間とは、さまざまな経験から学んでゆくものです。自分自身が経験してみなけらば分からなかったり、身につかなかったりすることは、たくさんあるのです。

　人間関係の築き方も、そのひとつです。学校では、よく”いじめ”事件が発生します。子供時代にいじめ事件が頻発するのは、子供ですと、まだ自分と相手との間の境が曖昧であるからです。このため、子供は、よく良く分からずに、相手の領域を侵犯してしまうのです。

　自分と相手との間には、相互に守るべき境界線があることを知ることによって、人は、子供から大人へと成長してゆきます。ですから、多くの人々と接して、自分自身と他者との境界を身をもって知ることは、子供にとって大人となるための重要な通過儀礼なのです。

　人みしりがひどくて、引っ込み思案のまあちゃまは、またまた心配になってきました。

不良といじめ

  　不良少年や不良少女は、どんなにおしゃれをしていても、やはり、かっこが悪いのです。何故ならば、他の人を傷つけたり、他の人の自由や権利を不当に奪ったりしているからです。

　とかく、自分には力があんだぞ、と威張りたがる人がいますが、少年少女の中にもそういう人はいます。強そうな素振りで、弱い人を脅かしてその人の所有物を取り上げたり、自分だけ得をするように強要したり、言いなりになる子分を作ってしまったりとか、青少年の世界にも小さな独裁者がいるのです。それをかっこがいいなんて、褒めそやかしますと、大きくなったら本物の暴君になってしまうかもしれません。力の正しい使い方は、小さい時から学ばなければならないのです。

　近年、いじめが原因で教室に行くのが怖い、という子供たちが多いのも、いじめられる側のことを考えたこともないいじめっ子が増えたからなのね、とまあちゃまは嘆くのです。

不良はやっぱりかっこ悪い！

　ところで、テレビのドラマやマンガなどでは、時々、不良少年や不良少女が、とても”かっこいい”ように描かれていることがあります。でも、本当に、犯罪に加担している少年や少女は、かっこいいのでしょうか？

　何か社会に抵抗していたり、常識を破壊したりすることは、時にして正義観から出たものと思われがちです。しかしながら、これが、社会正義への抵抗であったり、犯罪の礼賛ということになりますと、かっこいいはずの少年や少女は、犯罪集団予備軍、ということになってしまいます。そうして、ゆくゆく先は、逮捕されて刑務所に入ることになってしまうのですから、これでは、かっこ悪すぎです。

　不良は、やっぱりかっこ悪い、とまあちゃまは思うのです。

　

善悪の判断が難しい領域

　麻薬は”悪”に属していることは、何とか判断ができそうです。しかしながら、さらに一層、判断が難しい場合もあります。例えば、ある人の行為が、後になって他の人を犠牲にしてしまうような行為です。

　例えば、犯罪者やテロリストが人質をとり、その人質の命と引き換えに、不当な要求を行った場合はどうでしょうか。誰もが人質の命は助かってほしいと願うでしょう。しかしながら、テロリストへの妥協が、次なる犠牲を生むことになるとしたら、果たして、この判断は正しかったのか、自信が持てなくなるはずです。人質の命は助かりましたが、犯罪者やテロリストは、これに味をしめ、より凶悪な犯罪事件を起こすかもしれません。そうして、より多くの人々の命が奪われるかもしれないのです。

　本当に悪いのは、尊い命を人質に取って、自己の利己的な欲を追求しようとする犯罪者やテロリストなのだけれども、こうした問題は、誰かが犠牲になってしまうかもしれないので、とっても難しいのね、とまあちゃまは思案します。

　

麻薬の撲滅を！

  麻薬が世界中に広がりますと、普通の人々の生活が危機にさらされる場合もあります。その典型的な出来事は、アフガニスタンのタリバン政権で発生しました。

　それは、タリバン政権が、自らの資金源を確保するために、普通の穀物用の農地を麻薬畑に変えてしまったことです。このため、アフガニスタンの国民は、食糧にも事欠くことになり、肥沃で豊かであった国土は、一面のけし畑へと変貌してしまいました。新たに発足した新生アフガニスタンのカルザイ政権は、麻薬撲滅に積極的に乗り出していると言いますが、まだ、完全にその目的は達成されていないようです。このため、近年にいたって、タリバンが勢力を再び拡大させることになりました。自分だけ、と思って手を出した麻薬が、まわりまわって、多くの人々を不幸にしているのです。

　麻薬による負の連鎖を断たないと、みんなが不幸になってしまうのね！と、まあちゃまは、心から、麻薬は撲滅すべきと思うでした。