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中東和平において、留意すべき点は、この地域は、歴史が重層化していることです。古代に文明が開けた時から、この地を舞台に、帝国や王国が栄枯盛衰の歴史を繰り返してきたのです。ですから、国境線の線引きも、決して容易なことではありません。
パレスチナの地には、古代にユダヤ人が王国を建設していたこと、そうして、２０００年の時を隔てた近現代にあって、そこにはアラブ系のパレスチナの人々が住んでいたこと、この二つは、歴史的な事実です。そうして、ユダヤ人が、自らの国を失い、流浪の民となったことも事実です。１９世紀以来定着した民族自決権を考えれば、両者には、国を建設する権利が等しくあるはずです。しかしながら、土地は有限であって、新しく国を建設する場合には、どうしても、どこかに土地を確保しなければならず、当然に、領有権問題が発生してしまうのです。
古い歴史を持つことは、それだけ、問題も多くなるのね、とまあちゃまは、原点に戻ってかんがえてみるのでした。
国家間の合意と言うものは、なかなか難しいものです。勝ち負けは戦争のみならず、外交にもあるからです。片方だけに有利な合意内容となりますと、結局は、不利な条件を飲まされた側の合意に対する不満が爆発して、すぐに反故にされてしまいます。双方が満足する合意でなければ、一時の休戦状態しか意味しないのです。
半世紀以上にわたって、イスラエルとパレスチナ間で戦いと反目が続いたことを考えますと、中東和平は、決して平坦な道ではありません。そこで、やはり、重要になる点は、両者の公平性の確保ではないか、と思うのです。双方の権利と根拠を精査して、落とし所を探らなくてはなりません。おそらく、双方に痛みを伴うものとなりましょうが、痛み分けは、合意につきものなのです。
それでは、実際に、どのような案が考えられるのかしら、とまあちゃまは、考えてみることにしました。
イスラエルとパレスチナの間には、和平を妨げる様々な懸案が横たわっています。
１．国境線問題。これは、双方の原理主義者による全域領有の主張のみならず、二国併存派の間でも解決が困難です。何故ならば、パレスチナ側には、イスラエルによる占領地と入植地があるからです。
２．パレスチナ人の帰還権問題。これは、相次ぐ中東戦争によって、パレスチナの地を追われた人々が、イスラエルへ帰還する権利のことを意味しています。しかしながら、イスラエルが、これを認めるとしますと、早晩、イスラエルは、パレスチナ人国家となってしまいます。
３．聖地イエルサレムの帰属問題。この問題も、東イエルサレムをイスラエルが占領し、首都と宣言していますので、なかなか解決が難しそうです。
これらの懸案は、どのように解決したらよいのかしら、とまあちゃまは、首をかしげるのでした。
これまで、中東紛争の民族や宗教が絡み合う複雑な歴史を追ってきましたが、はたして、イスラエルとパレスチナが合意に達することは、あるのでしょうか。
双方が満足する解決に達することは、容易ではありません。少なくとも、もし、イスラエル側と極右とパレスチナ側の原理主義者とが、正面衝突することになれば、どちらかが完全敗北しかありません。片方は、パレスチナ一帯を神が約束したユダヤの地とみなし、もう片方は、イスラエルの存在を頭っから否定しているのですから。しかも、パレスチナ側の強硬派には、シリアやイランといった支援国がついており、最近では、全面戦争の可能性さえ指摘されていました。
双方の全面戦争になったら、それが世界各地に飛び火して、第三次世界大戦になる可能性だってあるわ、とまあちゃまは、心配でしかたがありません。
アメリカは、中東和平の促進のために、２００８年には、二度の大統領による中東訪問を行うことになりました。
ブッシュ大統領による第一回目の中東訪問は、１月の９日から１１日にかけて行われ、イスラエルのオルメルト首相とパレスチナ自治政府のアッバース議長と会談ました。、この訪問に先立って、ライス国務長官が、１２月１９日に中東を訪問しています。この訪問の目的は、両者間の国境線の線引きや、パレスチナ人の帰還問題など、合意のための条件づくりであったようです。しかしながら、アルカイダからの攻撃予告を受けるなど、危険に満ちた訪問でもありました。そうして、第二回目の中東訪問は、今月の中旬に予定されています。
両者は合意条件で折り合えるのかしら、とまあちゃまは、中東和平の行方に注目するのでした。
ところで、ハマスやレバノンのヒズボラの後ろ盾に、シリアがいることは再三述べてきました。それでは、何故、シリアは、ここまでハマスやヒズボラにてこ入れするのでしょうか？
それは、イスラエルとシリア間には、ゴラン高原のイスラエルによる占領と言う問題が残されていたからです。そこで、２００８年４月になって、イスラエルは、シリアに対して、条件付きでゴラン高原の返還を提案することになりました。その条件とは、イスラエルの承認やテロ組織への支援の停止やテロ活動そのものの放棄といった内容であると言います。
さてさて、シリアは、この条件の下で、イスラエルとの合意に達するのかしら、とまあちゃまの関心は高まります。
今日は、五月五日のこどもの日です。ちゃぽちゃんも、すくすく、元気に育っているようです。ね、ちゃぽちゃん！
アメリカは、ハマスをテロ組織と認定する一方で、イスラエルとパレスチナ自治政府との間を取り持とうとしました。
２００７年１１月、アメリカのメリーランド州アナポリスで、ブッシュ大統領は、中東和平国際会議を開催しました。この会議の結果、２００８年末までに、和平交渉の妥結を目標として掲げることになったのです。
２００８年といったら、今年なのだけれど、中東和平のゆくへはどうなるのかしら、とまあちゃまは、心配そうです。
中東情勢を見ますと、イスラエル側にもパレスチナ側にも、内部分裂があり、不安定化を増幅させているようです。
それでは、これまで中東情勢に深くかかわってきたアメリカの政策とは、どのようなものなのでしょうか。まず、アメリカ政府は、ガザ地区を実効支配しているハマスを合法的な組織とは見なしていません。それは、ハマスが、結成以来、テロ活動を行ってきたことに加えて、２００７年６月１２日に、非合法的な手段を用いてガザ地区を占領してしまったからです。ハマスは、、パレスチナ自治政府が現代国家となる基盤を、自ら壊してしまったのです。
ハマスの手法が武力頼みであることが、パレスチナ自治政府が、きちんとした国家となることを妨げているのね、とまあちゃまは、溜息をつくのでした。
経済封鎖されたガザ地区では、２００８年に入って、住民脱出という事態が発生しました。
２００８年１月２３日、ガザ地区南部ラファハにおいて、ハマスは、エジプトとの国境に建設されていたフェンスを爆破しました。この時、生活必需品にも困っていた７０万人もの住民が、エジプト領内に流入することになるのです。
”出エジプト”ならぬ、”出パレスチナ”となるなんて、何と、この世は、こんなに混乱しているのかしら、とまあちゃまは思うのでした。
