ところで、ハマスやレバノンのヒズボラの後ろ盾に、シリアがいることは再三述べてきました。それでは、何故、シリアは、ここまでハマスやヒズボラにてこ入れするのでしょうか？
それは、イスラエルとシリア間には、ゴラン高原のイスラエルによる占領と言う問題が残されていたからです。そこで、２００８年４月になって、イスラエルは、シリアに対して、条件付きでゴラン高原の返還を提案することになりました。その条件とは、イスラエルの承認やテロ組織への支援の停止やテロ活動そのものの放棄といった内容であると言います。
さてさて、シリアは、この条件の下で、イスラエルとの合意に達するのかしら、とまあちゃまの関心は高まります。
アメリカは、ハマスをテロ組織と認定する一方で、イスラエルとパレスチナ自治政府との間を取り持とうとしました。
２００７年１１月、アメリカのメリーランド州アナポリスで、ブッシュ大統領は、中東和平国際会議を開催しました。この会議の結果、２００８年末までに、和平交渉の妥結を目標として掲げることになったのです。
２００８年といったら、今年なのだけれど、中東和平のゆくへはどうなるのかしら、とまあちゃまは、心配そうです。
中東情勢を見ますと、イスラエル側にもパレスチナ側にも、内部分裂があり、不安定化を増幅させているようです。
それでは、これまで中東情勢に深くかかわってきたアメリカの政策とは、どのようなものなのでしょうか。まず、アメリカ政府は、ガザ地区を実効支配しているハマスを合法的な組織とは見なしていません。それは、ハマスが、結成以来、テロ活動を行ってきたことに加えて、２００７年６月１２日に、非合法的な手段を用いてガザ地区を占領してしまったからです。ハマスは、、パレスチナ自治政府が現代国家となる基盤を、自ら壊してしまったのです。
ハマスの手法が武力頼みであることが、パレスチナ自治政府が、きちんとした国家となることを妨げているのね、とまあちゃまは、溜息をつくのでした。
経済封鎖されたガザ地区では、２００８年に入って、住民脱出という事態が発生しました。
２００８年１月２３日、ガザ地区南部ラファハにおいて、ハマスは、エジプトとの国境に建設されていたフェンスを爆破しました。この時、生活必需品にも困っていた７０万人もの住民が、エジプト領内に流入することになるのです。
”出エジプト”ならぬ、”出パレスチナ”となるなんて、何と、この世は、こんなに混乱しているのかしら、とまあちゃまは思うのでした。
パレスチナは分裂し、ガザ地区は、ハマスによって占領されることになるのですが、 この措置に対して、イスラエルは、ガザ地区に対して経済封鎖を実施します。
まず、ガザ地区に通じる通行所が閉鎖され、ガザ地区の住民の生活に必要となる物資が届かなくなりました。そうして、２００８年１月１８日には、完全封鎖に至るのです。
イスラエルは、ガザ地区を”兵糧攻め”にしようとしたのね、とまあちゃまは、この先どうなるのか心配顔です。
レバノンのヒズボラと交戦状態に入ったイスラエルは、地上軍による侵攻ではなく、空爆によって、レバノンを攻撃しました。
特に攻撃対象となったのが、レバノン経済を支えているインフラ施設でした。つまり、空港や道路、火力発電所などが破壊されたのです。紛争の激化に対して、国際社会は、対応に動き出します。同年８月１４日、国連安保理は、停戦の決議を行います。こうして、イスラエル・レバノン両国は、お互いに戦いの矛を収めることになるのです。
イスラエル・レバノン紛争は短期間で停戦に持ち込めたけれども、レバノンのヒズボラには、シリアもイランも付いているから、今後の展開が心配だわ、とまあちゃまは、怪訝そうなお顔をするのでした。
中東情勢をめぐる状況の変化は、イスラエルとパレスチナの二国間に限定されているわけではありませんでした。イスラエルとレバノンとの関係も悪化していたのです。
２０００年に、イスラエル軍は、レバノンから撤退しましたが、その後も、ヒズボラ側からの攻撃は続いていました。２００６年７月にも、イスラエル国防軍との間で交戦があり、二人の投降兵士を捕虜とします。ガザでイスラエル軍兵士拉致事件が起きてたのと、丁度同じ時期のことです。この兵士拉致事件に憤慨したイスラエルは、７月１２日に、再びレバノンとの戦争に突入することになるのです。この戦争は、イスラエル・レバノン戦争と呼ばれています。しかも、ヒズボラの背後には、支援国としてシリアとイランが控えていたのです。
この様子では、中東一帯に戦火が広がりそうだわ、とまあちゃまは、心配でなりません。
２００６年のファタハとハマスの連立政権は短期間で解消されたのですが、２００７年３月１７日に、再び、両者は、”挙国一致内閣”を結成することになりました。
しかしながら、ハマス側が同年６月１２日に武力でガザを占拠するに及び、アッバース大統領は、一方的に内閣の解散を宣言し、ハマス抜きの組閣を行うのです。この結果、両者は、決定的な対立に至り、内戦状態となるのです。
これでは、パレスチナは、内部分裂になってしまうわね、とまあちゃまは、行く末を見守ります。
イスラエルとパレスチナ間の戦闘が再開される中で、議会選挙で第一党となったハマスは、２００６年９月１１日に、ファタハとの連立政権を発足させます。
その意図は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区との対立を、連立政権によって緩和させることであったのかもしれません。しかしながら、この連立は、１０月になると解消されることになりました。
イスラエルもパレスチナも、内部をまとめることは大変なことなのね、とまあちゃまは、あらためて実感するのでした。
２００６年６月２５日、ハマス軍部は、さらなる作戦に出ます。それは、トンネル作戦によってイスラエル側に侵入することでした。
この作戦は成功し、ハマスは、イスラエル兵士を拉致することになりました。この拉致行為に怒ったイスラエル軍は、ついにガザへの本格的な軍事作戦にでることになります。ガザ地区の幹線道路や発電所が爆撃対象となり、ガザの市民生活は、麻痺してしまうのです。こうして、一端は撤退したイスラエル軍が、再びガザを占領することになりました。
せっかくに和平合意が実践に移されたのに、また、逆戻りね、とまあちゃまは、落胆するのでした。
