政治学にあっては、個人主義とは、主として国家内部の論理として主張されてきました。この論理を、国際社会に当て嵌めようとしますと、当然に、”民族”という集団の単位は、あまり意味を持たなくなります。個人主義思想に基づく人権思想もまた、基本的には、集団に対しては関心を払ってはいないのです。
しかしながら、国際社会においては、民族は、一つの単位として政治的な権利を持つものであって、国家の枠組みそのものを支えています。この個人主義と現実の民族自決権との間のギャップは、しばしば、現実離れした政策がおこなわれる原因ともなっているのです。中東紛争も、これは、明らかに民族間の紛争ですから、民族を捨象した解決策は不可能なはずです。しかしながら、個人主義的な理想論が唱えられますと、共生を軸とした解決案が提示されたりするのです。チベット問題でも、チベット人個人の人権さえ守られればよいとする意見がありますが、これでは、集団としての自決権や文化を否定することになりかねないのです。
国際問題に対しては、個人主義的なアプローチには限界があるのね、とまあちゃまは、思うのです。
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