政治学や社会学のみならず、現実の政治にあっても、”共生”という言葉は、大流行です。しかしながら、長い間敵対してきた歴史的な背景がある場合に、はたして、可能なのでしょうか?
もし、イスラエルがパレスチナ人の帰還権を認め、パレスチナ人による大規模なイスラエル国内への移住が起きるとしますと、イスラエル内部は、大きな変革を迫られることになります。イスラム教では、政教分離を定めていませんので、イスラエル内部で、イスラム教の宗教政党や宗派政党が組織されるかもしれません。また、言語、習慣、歴史、伝統においても、両者には相違がありますので、教育や家族法などにおいて、法改正を要することになりましょう。あるいは、分離政策をとるとしますと、イスラエル国内で、一国二制度となるか、または、パレスチナ人自治区のようなものが設けられることになるかもしれません。そうして、一つ間違えますと、何らかの諍いを切っ掛けとして、両民族は衝突し、内戦にまで発展するかもしれないのです。この内戦は、おそらく、イランやシリアといった周辺諸国の介入を招くことになりましょう。
まあちゃまには、パレスチナ人の帰還権を認めることが、中東全域の安定に資するとは思えないのでした。
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