同時代性の欠如と国際法における民族自決の原則の定着時期とを考えますと、先住民の独立権は、かなり難しいように思うのです。
何故ならば、パレスチナやコソボなどの例とは異なって、歴史的に先行する国家が存在しないか、あるいは、インカ帝国のように消滅してしまっていることが、その理由の第一点です。このため、イスラエルのように国家復興といった根拠を持てないのです。
第二に、移民の開始から19世紀後半に至るまでの過程で、住民の人口の大半が移民となり、しかも、国家の統治機構が、新たに建設されてしまいました。しかも、世界各地から多くの移民を受け入れる移民国家の形態をとったことは、新たに建設された国家が、先住民をも包摂する可能性を秘めた開放性を持っていたとも言えます(現実にそうならない場合には、対処が必要・・・)。
第三に、移民の人々が開拓した土地にまで、先住民の権利が及ぶとすることにも無理があるようです。多くの場合、国家としての基礎を築き、生活基盤を整えたのは、移民の側であったからです。
随分酷いことを言っているように聞こえるかもしれませんが、少なくとも、先住民には、現在の国家全域に対して、それが自らの独立国家の領域であるべきことを主張する権利はないのではないか、と思うのです。しかしながら、国家独立の権利がないことが、先住民には全く権利がない、と言うことを意味するのではありません。
それでは、先住民には、どのような権利があるのかしら、とまあちゃまは、次の問題に進むことにしました。
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