犯罪を悪と認定することができるとしても、それ以外の領域で、悪と善とを区別することはそう簡単ではありません。それは、人間には、いろいろな欲があるからです。本物の宗教家や世捨て人を除いて、日常を生きる人間は、つねづね自らの欲について吟味してみなくてはならないのです。
欲にも良い欲と悪い欲があります。たとえば、食欲は、人間が生きてゆく上で必要となりますが、これが、過度に強くなりますと、メタボリックス症候群になったり、肥満になったりして、健康を害してしまいます。もっとも、これは、病的な社会現象として公的な対策が練られることはありますが、直接に他者を害することはありません。こうした個人の問題にとどまる欲がある一方で、ある人の欲が、他の人を害してしまう場合もあります。その典型的な例が、支配欲というものです。”他者を支配したい”というこの欲にあっては、必ず、支配される対象を要します。そうして、この欲が昂じますと、独裁者が現われてしまうのです。
支配欲って、他の人の自由を奪い、自分のために働かせたい、という欲なので、支配者が利己的な支配欲の塊ですと、国民はひどい扱いを受けることになるのね、とまあちゃまは心配になりました。
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