「『日本書紀』が『天皇記』と『国記』を参照していたとなると、編年においても、推古九年の西暦601年から1260年遡った年代に紀元年(神武元年)を設定することを思いついた人は、聖徳太子さんだったのかもしれないわね。はじめて日本の国の正史を編纂するにあたって、辛酉年に大きな政治的変革があると考えて、辛酉革命説を採ったのではないかしら。」
「なるほど。ゆうちゃま。ちゃぽ。びっくり。それで、三善清之さんは、辛酉年にこだわっていたんだね。」
「そうよ。三善清之さんがあの「勘文」を書いて以降、辛酉革命説は、ずーっと信じられてきて、19世紀後半の幕末まで、60年に一度めぐってくる辛酉年には、かならずといっていいほどに改元されてきたのよ。」
「ちゃぽ。すごい年に行ってきたんだ。でも、三善清之さんは、なぜ、西暦901年にも大きな政治的事件があると考えていたのかなあ。」
「ちゃぽちゃん。それは、おむずな質問だけれども、いい質問ね。」
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