ちゃぽちゃんは、さっそく牛車のところまでいって、おそるおそる声をかけてみました。
「もうし。ちゃぽと申すものでござりまするが、ひとつ、おうかがいしたことがござりまする。」
すると、牛車の長物見(ながものみ)が開きました。
「まあ。ちゃぽちゃんですね。わらわは、まあちゃまと申します。」
「えっ。まあちゃま。」
そういえば、まあちゃまみたいだなあ、とちゃぽちゃんは思いました。
「まあちゃま。三善清行さんには、どこへゆけばお会いすることができるのでしょうか。」
「ちゃぽちゃん。三善清之さんは、とっても忙しい人なのよ。すぐには、お会いできないかもしれないわ。それじゃあ。ちゃぽちゃん。まずは、お家に遊びにいらっしゃい。平安京の見物にでもまいりましょう。」
「うん。ちゃぽ。」